ウェスタンステイツを走りたい!ウェスタンステイツ完全ガイド
Western States Endurance Run - WSERとは?
ウェスタンステイツ・エンデュランスラン 100マイル Western States Endurance Run 100 miles(WSER - 以下、ウェスタンステイツ)は世界で最も古く最も権威のある100マイルトレイルレースと言われ、ウェスタンステイツはフランス・シャモニーで行われるUltra-Trail Du Mont-blanc - UTMBに比肩して、世界のウルトラランナーたちに最高峰のレースと見なされており「いつかは走りたい夢のレースリスト」にリストしているトレイルランナーの方も多いのではないでしょうか?
そのウェスタンステイツの2024年開催レースのエントリーがいよいよ11月1日からスタートします。それにあたり、ウェスタンステイツ公式サイトの2023年度版ランナーズガイドを元に、その歴史、コースやその特徴、ルール、エントリー方法などをみていこうと思います。
今年2023年になんと2度目のトライでエントリーを果たし、見事に完走した友人、Marco Lui の臨場感のある旅の様子といっしょにお届けします!
(At Cougar Rock - photo by Faccino Photography)
概要
ウェスタンステイツの歴史は、古くは1974年に馬に乗って行う24時間耐久レース「テビスカップ Tevis Cup」に参加したゴードン・エインズリー Gordy Ainsleigh が、その大半を自らの脚で走り続けたことに端を発します。(よく話に聞く、「馬が故障した」という事実は公式サイトには掲載されていない) そして1977年、テビスカップと同時に開催された第1回公式ウェスタンステイツ・エンデュランス・ランには、4つの州から14人が参加し、22時間57分でゴールした22歳のアンディ・ゴンザレス Andy Gonzalesを含む3人のフィニッシャーが生まれました。それ以降、このイベントはウルトラランニングコミュニティの中で名声を博し、世界中からトップランナーが集まるレースとなりました。
レースは6月の最終週末の土曜日の午前5時に始まり、翌日の午前10時59分59秒まで、制限時間の30時間以内にゴールしたランナーには記念のブロンズ・バックル、24時間以内にゴールしたランナーにはシルバー・バックルが授与されるのは有名ですが、その他に完走車全員にフィニッシャーズメダルが授与されます。このシルバーバックルを獲得することは世界のトレイルランナーの大きな栄誉とされています。
また、ウェスタンステイツは北米で開催される5つの100マイルレースシリーズ、グランドスラム・オブ・ウルトラランニングのレースの一つとなっています。この一連のレースはまだ日本のトレラン黎明期に石川弘樹選手、また今年2023年は井原知一選手が達成したことでまた注目されているようです。
- ウェスタン・ステイツ (カリフォルニア) Western States Endurance Run
- オールド・ドミニオン (ヴァージニア) Old Dominion 100
- バーモント (バーモント) Vermont 100 Mile Endurance Run
- ワサッチ・フロント (ユタ) Wasatch Front 100 Mile Endurance Run
- レッドヴィル (コロラド) Leadville Trail 100
記録
男子コースレコードは今年のUTMBで念願の初優勝を果たした快足ジム・ウォームズリー、女子はもはや男子枠でいいんじゃないかと思われるほど女子トレイルシーンで圧倒的な実力を持つコートニー・ドーウォールター。
男子:14:09:28(2019年)ジム・ウォームズリーJim Walmsley
女子:15:29:34(2023年)コートニー・ドーウォルターCourtney Dauwalter
他にもウェスタンステイツで輝かしい記録を残したレジェンドランナーとして有名なのは、
- 1999年から2005年にかけて7年連続で優勝。トレランの名著『Born to Run』でもお馴染みのみんな大好きスコット・ジュレク Scott Jurek
- 1989年から2003年まで通算14回優勝したアン・トレイソン Ann Trason
- おそらく最も有名な完走者のひとり、ティム・トウィートマイヤー Tim Twietmeyer 25回完走し、すべて24時間以内。優勝も5回
コースプロファイル・気象条件
1986年以降は基本的に大きなコース変更はないようで、スタートはオリンピック・バレーにあるパリセーズ・タホ・スキーリゾート Palisades Tahoe の麓で、カリフォルニア州オーバーンにあるプレーサー高校 Placer High のトラックがゴール。シエラネバダ山脈を行くそのトレイルの最高地点には雪が積もり、またコース全体が記録的な猛暑に見舞われることも多い。実際2023年のレースでも前半のトレイルにはかなりの雪が残っていたようです。
累積標高5,500m、下降7,000mで全体的には下り基調。トレイルは谷底(標高1,890m)からエミグラント・パス(標高2,667m)まで、最初の7.2kmで777mの上昇となります。
後半では有名なラッキーチャッキーリバーの腰まである渡河などトリッキーな場面もありますが、日本の里山のギザギザシングルトラックのようなテクニカルなトレイルではなく、総じて走れる高速テレインとなっています。
(出典: Western States Endurance Run 100mile: https://www.wser.org/course/maps/)
気象条件
ゴール地点オーバーンの最高気温と最低気温。1974年から2023年までの6月最後の週末の平均最高気温は摂氏約32度、最低気温は約15度とのこと。競技人口も増え、ギアの性能も安定してきたであろう2010年以降だけピックアップすると以下の通り。一見して最高気温と完走率に相関はなさそうですが、最低気温が20度を上回ると完走率は70%台で、さらに2013年、2022年を除いた年はすべて60%台と低い完走率になり、最低気温が完走率に影響しているように見受けられます。近年世界的に気温の上昇傾向が顕著なこともあり、完走には十分な暑さ対策が肝となりそうです。
日付
|
最高気温
|
最低気温
|
完走率
|
総合優勝タイム
|
距離
|
雪
|
渡河
|
24-June-23
|
27
|
11
|
86.5
|
14:40
|
100.2
|
普通
|
ボート
|
25-June-22
|
36
|
21
|
79.6
|
15:13
|
100.2
|
||
26-June-21
|
38
|
23
|
66.0%
|
14:46
|
100.2
|
||
27-June-20
|
34
|
19
|
キャンセル
|
||||
29-June-19
|
28
|
14
|
86.4%
|
14:09
|
100.2
|
普通
|
ボート
|
23-June-18
|
37
|
16
|
81.0%
|
14:30
|
100.2
|
||
24-June-17
|
35
|
24
|
67.2%
|
16:19
|
100.2
|
普通
|
ボート
|
25-June-16
|
34
|
16
|
79.3%
|
15:39
|
100.2
|
||
27-June-15
|
33
|
23
|
68.5%
|
14:48
|
100.2
|
||
28-June-14
|
32
|
15
|
78.7%
|
14:53
|
100.2
|
||
29-Jun-13
|
39
|
23
|
72%
|
15:17
|
100.2
|
||
23-Jun-12
|
22
|
11
|
82%
|
14:46
|
100.2
|
||
25-Jun-11
|
28
|
16
|
82%
|
15:34
|
100.2
|
スノールート
|
ボート
|
26-Jun-10
|
33
|
19
|
77.5%
|
15:07
|
100.2
|
スノールート
|
ボート
|
(Crossing Rucky Chucky river - photo by Faccino Photography)
エイドステーション・ドロップバッグ
20のエイドステーションがあり、最長のポイント間のインターバルは16.6km。ドロップバッグポイントはなんと10箇所。ドロップバッグは預け入れステーションの15.2cm x 20.3cm の開口部に収まるものでなければならず、長さは最長約40cmということです。
ペイサー・クルー
クルーのサポートも9箇所で可能となっています。ペイサーに至っては複数のペイサーをつけることが可能 (一度に同行可能なペイサーは1人のみ)となっており、通常5箇所、エイドへの到着タイムにより最大6箇所でペイサーの交換が可能なのも日本のレースでは見かけないルールとなっています。コースに不慣れな海外からのランナー用にペイサー募集のリクエストも受け付けています。ペイサーはエイドステーションでは給水や補給でのサポートをすることが可能ですが、コース上でランナーの荷物を持ったり、物理的な手助けをすることはできません。
クルーについては特に気になる特殊な規定はありませんでしたが、エイドステーション、フィニッシュライン、トレイル上では、犬やその他のペットの同伴が認められていないことはドッグフレンドリーなアメリカの大会にしてはやや意外な気がします。
(Suppotted at Robbinson Flat photo by Cory Seeger)
エイドステーションの多さや、ドロップバッグポイントの多さはクルーをつけられないランナーには非常に有効なシステムとなっています。また、毎年のレースの写真を見ると、100マイルという距離に対し、ハンドボトルにランニングバンドのみ等、軽装のランナーが多いことに気づくと思いますが、これはエイドステーションとドロップバッグの多さに起因していると思います。ちなみに2022年男子優勝のアダム・ピーターマン Adam Peterman はNaked Running Bandとハンドボトルのみでの優勝でした。厳しい暑さも予想されるこのレースにおいて、あえてザックを背負わず背中をフリーにして大きな背筋からの排熱を促進することも有効な手段だと思われます。
(Fueling at Robbinson Flat photo by Cory Seeger)
エイドステーション |
距離 (km) |
区間距離 (km) |
メディカル |
ドロップバッグ |
サポート |
ペイサー変更 |
関門時間 |
Olympic Valley |
0 |
Yes |
Yes (multiple) |
||||
Lyon Ridge |
16.6 |
16.6 |
No |
10:30am* |
|||
Red Star Ridge |
25.4 |
8.8 |
Yes |
Yes |
No |
10:30 |
|
Duncan Canyon |
39.3 |
13.8 |
No |
12:30 |
|||
Robinson Flat |
48.8 |
9.5 |
Yes |
Yes |
Yes (shuttle) |
14:10 |
|
Miller's Defeat |
55.3 |
6.6 |
No |
15:15 |
|||
Dusty Corners |
61.1 |
5.8 |
No |
16:05 |
|||
Last Chance |
69.7 |
8.5 |
Yes |
Yes |
No |
17:25 |
|
Devil's Thumb |
76.9 |
7.2 |
Yes |
Yes |
No |
19:10 |
|
El Dorado Creek |
85.1 |
8.2 |
No |
20:40 |
|||
Michigan Bluff |
89.6 |
4.5 |
Yes |
Yes |
Yes (shuttle) |
After 8pm |
21:55 |
Foresthill |
99.8 |
10.1 |
Yes |
Yes |
Yes (multiple) |
OK |
23:45 |
Dardanelles (Cal-1) |
105.7 |
6.0 |
No |
2:40am* |
|||
Peachstone (Cal-2) |
113.8 |
8.0 |
Yes |
No |
2:40 |
||
Ford's Bar (Cal-3) |
117.5 |
3.7 |
No |
5:00am* |
|||
Rucky Chucky |
125.5 |
8.0 |
Yes |
Yes (Far Side) |
Yes (Near Side shuttle) |
OK |
5:00 |
Green Gate |
128.4 |
2.9 |
Yes (on foot) |
OK |
5:50 |
||
Auburn Lake Trails |
137.1 |
8.7 |
Yes |
Yes |
No |
7:15 |
|
Quarry Rd |
145.9 |
8.8 |
No |
8:40 |
|||
Pointed Rocks |
151.7 |
5.8 |
Yes |
Yes |
Yes (on foot) |
OK |
9:40 |
Robie Point |
159.1 |
7.4 |
Yes (on foot) |
OK |
11:00am* |
||
Placer High School |
161.2 |
2.1 |
Yes |
Yes |
Yes (multiple) |
11:00 |
エントリー方法
さて、毎年2,500人以上が参加するUTMBと比べ、ウェスタンステイツの参加者は370名程度と少数に限られています。では、非常に限られた出場枠しかないこの超人気レースに出場するにはどうすればいいでしょうか?
有資格者:
- 各抽選申込者は、レース当日に18歳以上
- 年間の予選期間中(2023年では、2022年11月7日(月)から2023年11月5日(日)まで)に決められた時間内に予選レースを完走
予選レース
ウェスタンステイツのホームページのよれば、
レースの選考基準は規模のみに基づいておりコースの難易度や大会全体の質ではなく、出走者数のみに基づく
米国の100マイル・トレイルレースのなかから大きな30レースを選考
それと同等規模の”エスタブリッシュ”な海外および米国の100km以上のトレイルレースを加える
"エスタブリッシュ"という意味において、1年目のレースは除外され、2年目以降の大会は規模基準を満たせば資格が与えられる
現在考慮されるにあたり約120人の完走者が必要
100マイル未満のレースは標高差2500メートル以上
毎年9月に予選レースリストを再評価している
ということで、日本のレースで2024年度の予選レース Qualifierとなっているのは次のレースです。
大会名 |
距離 |
国 |
開催月 |
開催年 |
時間 |
備考 |
121km |
Japan |
5 |
2023 |
30 hours |
Canceled |
|
105km |
Japan |
11 |
2022 |
30 hours |
||
100km |
Japan |
6 |
2023 |
21 hours |
new |
|
100km |
Japan |
7 |
2023 |
16 hours |
||
100M |
Japan |
7 |
2023 |
24 hours |
||
110km |
Japan |
9 |
2023 |
22 hours |
||
100M |
Japan |
9 |
2023 |
33 hours |
||
140km |
Japan |
9 |
2023 |
34 hours |
||
100M |
Japan |
4 |
2023 |
45 hours |
キャンセルになったARTを除くと8レース、同じ大会で100kmと100マイルがそれぞれ対象になっているものを一つに数えると6レース。先に挙げられた選考基準から考えるとOSJ KOUMI100や、球磨川リバイバルトレイルなど、他にも規模的に基準を満たすレースは複数ありそうですがリストにありません。比較的古参のメジャーレース以外に奥信濃100が入っているのが目につきます。一見少ないように感じますが、2023年10月現在日本国内に抽選のための権利ポイントであるランニングストーンを獲得できるレースがないUTMBを考えれば、応募条件はクリアしやすいと言えるでしょう。
これ以外に、単純に距離的に比較的日本から行きやすいと思われるアジアのレースは (レース会場へのアクセスしやすさなどは考慮に入れておりませんので、実際に検討するときはご注意ください)
大会名 |
距離 |
国 |
開催月 |
開催年 |
時間 |
備考 |
104km |
Taiwan |
11 |
2022 |
|||
112km |
South Korea |
11 |
2023 |
27 hours |
||
100km |
Hong Kong |
2 |
2023 |
23 hours |
||
100km |
Hong Kong |
3 |
2023 |
30 hours |
||
100km |
Hong Kong |
11 |
2023 |
28 hours |
virtual |
|
140km |
Hong Kong |
11 |
2023 |
40 hours |
virtual |
|
106km |
Malaysia |
3 |
2023 |
32 hours |
||
100M |
Malaysia |
6 |
2023 |
50 hours |
||
100km |
Malaysia |
7 |
2023 |
28 hours |
||
100km |
Malaysia |
11 |
2023 |
26 hours |
new |
|
109km |
Malaysia |
9 |
2023 |
30 hours |
||
104km |
Thailand |
12 |
2022 |
30 hours |
new |
|
100M |
Thailand |
12 |
2022 |
48 hours |
new |
|
100M |
Philippines |
5 |
2023 |
40 hours |
||
118km |
Philippines |
4 |
2023 |
35 hours |
||
100km |
China |
7 |
2023 |
29 hours |
||
130km |
China |
7 |
2023 |
36 hours |
||
168km |
China |
7 |
2023 |
48 hours |
||
192km |
China |
7 |
2023 |
53 hours |
||
106km |
China |
4 |
2023 |
26 hours |
new |
|
109km |
China |
4 |
2023 |
24 hours |
タイのドイ・インタノンや韓国済州島のトランス・チェジュはUTMBのランニングストーンも手に入ることや、専用ツアーの募集も盛んなこともあってか、日本からのランナーも近年多数参加しているようです。香港100kmなども比較的日本人に馴染みの深いレースではないでしょうか?
以下は、ニュージーランドやオーストラリアのレースですが、時差の影響が少なく比較的走りやすいかもしれません。オーストラリア by UTMB やタラウェア (by UTMB)は有名どころでどちらもランニングストーンがゲット可能。
大会名 |
距離 |
国 |
開催月 |
開催年 |
時間 |
備考 |
100km |
Australia |
10 |
2023 |
18 hours |
||
100km |
Australia |
7 |
2023 |
24 hours |
new |
|
100km |
Australia |
12 |
2022 |
18 hours |
new |
|
100M |
Australia |
12 |
2022 |
36 hours |
new |
|
100km |
Australia |
9 |
2023 |
16 hours |
||
100km |
Australia |
5 |
2023 |
19 hours |
||
102km |
New Zealand |
2 |
2023 |
17 hours |
||
100M |
New Zealand |
2 |
2023 |
36 hours |
そして、番外編として遠くはありますが
100M |
Hawaii |
1 |
2023 |
36 hours |
||
100M |
France |
8 |
2023 |
46:30:00 |
||
100km |
New York |
8 |
2023 |
20 hours |
いつかは走りたいリストの常連客のHURT、UTMBもクオリファイヤですね。当たらないけど当たれば2度美味しいレース。
個人的にはNew YorkのTwisted Branchが気になりました。詳細は知りませんが、100kmですし、ニューヨーク旅行のついでに、というのは無理でしょうか...(と、思って少し調べてみたら、レースのスタート会場はオンタリオ湖の近くで、ニューヨークJFK空港から車で332マイルもあり、東京ー神戸間以上のロングドライブ、もしくはロチェスター空港まで飛行機で1時間強+車...)
ちなみに2025年のレースの対象レースも上がっていましたが、日本のレースについては2024年と現在のところ変わりがありませんでした。開催未定のARTも引き続き入っていたのはどういうことなのか、あまり丁寧にレビューされていない印象を受けます。
応募期間
通常レース前年の11月初めから3週間 (2024年のレースは2023年11月1日から2023年11月21日) にportal.wser.org で行われる
抽選システム
- 抽選は12月初旬に行われる。次の年にスタートラインに立つことができる幸運なランナーに加えて、50~75人程度がウェイティングリストに載る。2024年のレース参加者は2023年12月2日(土)に抽選で決定。抽選結果はlottery.wser.org のウェブサイトに掲載
- 1週間以内に登録を完了しなければ、エントリーおよび未消化の抽選券は没収となる。登録期間が短いため、気をつけたいところ
- もし抽選に外れても、抽選参加者の名前は抽選ポットに残る。つまり毎年抽選に参加すれば、都度当選確率を高めて抽選に参加できる。しかもその公式は
2^(n-1)
(nは抽選に参加した年数。”^”の記号は、数学においてはべき乗(掛け算の繰り返し)の指数を表す。例えば、3の二乗 (3×3)を表すために3^2と書く)
つまり
1年=1エントリー
2年=2エントリー
3年=4エントリー
…
最大で8年で128回応募できる。ウエスタンステーツ2022の抽選番号のページで、チケットの枚数に応じた出場確率の内訳を見ることができる。
レースでの成績優秀者
これ以外に、その前年度のウェスタン・ステイツの上位10名とUTMBやCanyons 100kのような特定のレースでの男女上位各2名にゴールデンチケットを提供している。ちなみに2024年のエントリーではタイのドイ・インタノンがこのレースの一つにあたり、日本のトップトレイルランナー小原将寿選手がこのレースを2023年勝負レースとして2024年のウェスタンステイツへのエントリーを狙っています。
ゴールデンチケット枠は最大28名に与えられ、2024年のレースのゴールデンチケットレースは以下の通り
- CCC by UTMB 100K フランス/イタリア/スイス, 2023年9月1日
- グラインドストーン 100K by UTMB 100K, ヴァージニア, 2023年9月23日
- ニース・コートダジュール 115K by UTMB 115K, フランス, 2023年9月30日
- ジュブリーナ・ジャンドレッド Presented by HOKA 100M, アリゾナ, 2023年10月28日
- ドイ・インタノン・タイランド by UTMB 100M, タイ, 2023年12月8日
- ブラックキャニオン Presented by HOKA 100K, アリゾナ, 2024年2月10日 (男女上位3名)
- ザ・キャニオンズ Presented by HOKA by UTMB 100K, カリフォルニア, 2024年9月27日
上記以外にも以下の枠が設定されていますが、このページを読む大部分の方には可能性の少ない枠となっています。
- エイドステーションのスポンサーおよびスタッフを務める各ランニングクラブ推薦枠各1人 (一般的には少なくとも過去3年間そのエイドステーションで働いた経験があるボランティア)
- 特殊事情: 例外的な事情がある場合、あるいはWSERへの貢献が並はずれて大きいランナー
- スポンサー契約によるスポンサー推薦枠
- ウェスタンステイツ理事会のメンバー
- パイオニア枠: 1974年に初めて完走したゴーディ・エインズレイと1976年にその偉業を再現したカウマン・A・モーハ
- 複数年: 10位入賞初挑戦の9回完走者、19位・20位入賞初挑戦の18回・19回完走者
- 年2回のくじの当選者
- 妊娠のための延期者
- 2000年から2012年までレースディレクターを務めた故グレッグ・ソダーランド・シルバー・レジェンド枠. レース当日60歳以上のランナーのための1枠。抽選への参加と貢献度を記したレジュメの送付が必須。
各年の参加者の内訳は以下の通り。
2023 |
2022 |
2020 |
2019 |
2018 |
2017 |
2016 |
2015 |
||
Top 10 |
前年度上位10位 |
17 |
17 |
15 |
19 |
16 |
19 |
14 |
18 |
Raffle |
くじ |
10 |
12 |
10 |
10 |
10 |
10 |
10 |
11 |
Race Admin |
オーガナイザー |
26 |
28 |
27 |
24 |
27 |
30 |
29 |
27 |
Special Considerations |
特殊事情 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
2 |
1 |
Silver Ledgends |
シルバーレジェンド |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
||
Golden Ticket |
ゴールデンチケット |
28 |
28 |
20 |
20 |
20 |
24 |
24 |
24 |
UTWT/UTMB |
UTWT/UTMB |
2 |
0 |
10 |
10 |
10 |
6 |
6 |
6 |
Overseas (Rollover) |
コロナで渡航できなかった人 |
0 |
56 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
5 |
Sponsors |
スポンサー枠 |
15 |
13 |
12 |
14 |
14 |
20 |
22 |
18 |
BIPOC |
BIPOC (意味不明) |
2 |
2 |
||||||
Pragnancy Deferal |
妊娠での延期 |
1 |
2 |
||||||
Multi-year |
複数年参加者(上記参照) |
0 |
0 |
1 |
1 |
2 |
2 |
3 |
2 |
Board Members |
理事会メンバー |
1 |
0 |
2 |
1 |
1 |
1 |
2 |
2 |
Gordy |
ゴルディ(初完走者枠) |
0 |
0 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
Total Automatic |
事前決定枠数 |
106 |
162 |
102 |
104 |
105 |
117 |
114 |
115 |
Entrants |
全参加者 |
380 |
385 |
369 |
369 |
369 |
369 |
385 |
388 |
Lottery Spots |
一般抽選枠 |
274 |
223 |
267 |
265 |
264 |
252 |
271 |
273 |
表彰
規則に従って完走したウエスタンステイツの全参加者は、その功績を称えられ、1つまたは複数の表彰を受ける資格があります。
- 24時間以内に最初にフィニッシュラインを通過した男女の公式ランナーは、優勝者の名前が刻まれたウェンデル・ロビー・カップの勝者となる。
- 男女各1位にはウェスタンステイツ・クーガー・トロフィーが授与。
- また、以下のカテゴリーで男女上位3名に年齢別表彰が与えられる: 39歳以下、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70歳以上。
- 24時間以内の完走者全員に、手作りの銀製ウェスタンステイツ・エンデュランス・ランのバックル、通称シルバーバックルが贈られる。
- 24時間00分00秒以上30時間未満で完走した完走者全員に、手作りのブロンズ・バックルが贈られる。
- 公式完走者全員にフィニッシャーメダルが贈られる。
- 最高齢の男女完走者には、ウォルター&ルース・アン・ボルツ博士から特別賞が贈られる。
- 30時間経過後にフィニッシュラインを通過したランナーは、正式な完走者とは認められない。
このシルバーバックルは、おそらくウルトラランニングで最も有名で切望されているアイテムで、今では同様のバックルはアメリカの100マイルレースの標準となり、日本でも信越五岳100マイルの完走の証となっています。シルバー・バックルは、当初からネバダ州カーソンシティにあるコムストック・ヘリテージ社によって手作業で作られています。
スケジュール
2023年のアジェンダを元にすると、レースウィークの木曜日に最初のイベントがスタートしてから、日曜日のお昼頃にイベントは終了します。
金曜日(レース2日前)
9:00 a.m. - 1:00 p.m.
全ランナーの出席が義務付けられたレースへの出場者登録
9:00 a.m. - 1:00 p.m.
レース当日にチェックポイントに配布するドロップバッグ預け入れ
2:00 p.m.
レースミーティング、椅子持参。全ランナー参加イベント
土曜日(レース当日)
3:30 a.m.
朝食:スタート地点近くのオリンピック・プラザで提供。
4:00a.m. ~4:50a.m.
事前チェックイン(PRE-RACE CHECK-IN)必須イベント。
5:00 a.m.
レーススタート
日曜日(レース2日目)
5:00 a.m. シルバーバックルランナーがこの時間までにフィニッシュ。
11:00 a.m. ブロンズバックルランナーのカットオフ。
8:00 a.m. - 12:00 p.m.
セレブレーション・ブレックファスト(ゴール地点で提供)
参加者、ボランティアは無料。クルー、ペーサー、家族、ファンも参加可能。
12:30 p.m.
プレーサー・ハイスクール・トラックのフィニッシュ・ライン付近で表彰式。
終わりに...
以上、ウェスタンステイツの概要と最新情報をまとめてみました。最近は日本でもさまざまなロングレースが楽しめるようになってきましたが、アメリカのレースはヨーロッパともまた違った独特のバイブスを持っています。このガイドを参考にゴールデンチケットをぜひ手に入れて、シルバーバックルを狙ってみてはいかがでしょうか?
もしこちらの記事が気に入っていただけたら、ウェスタンステイツが気になっているトレイルランナーの友人にもどうぞシェアしてあげてください!
そして、レースのお供にはどうぞランニングバンドを連れて行ってみてください!
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参考: Western States Endurance Run 100mile 1day: https://www.wser.org/
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