ウルトラマラソンに向けて食事はどうするべき?ウルトラランニング中やトレーニング中の食事などポイントを紹介します

ウルトラマラソンは、文字通りフルマラソンの41.295km以上、レースによっては100㎞走ることもあり、内臓を含む身体への負担は必然的に大きくなります。とくに疲労が溜まるレースの後半に最適な補給ができるかは、行き当たりばったりではなかなか思うようにいかないものです。自分の身体がどのような状態になっているのか予測して、最適な補給をすることはパフォーマンスを最大限に発揮する点において、トレーニング同様に重要な課題であるといえます。

今回はランニング中やトレーニング中の食事について気をつけたいポイントについて考察してみます。

レース直前の食事

ultra marathon startline

個人差はありますが、いくら気を使っても胃腸トラブルが発生しやすい人がいます。自分の体調を完璧に管理するのは難しいですが、まずはレース直前の食事に気を遣うことでスタート時の体調を維持改善が期待できます。

はじめに、レース当日の食事時間です。ウルトラマラソンがスタートするのはだいたい早朝から正午がほとんどです。そのため朝食の時間は消化、吸収を考慮し、レース開始の2、3時間前までに済ませることをおすすめします。

ただし、100kmレベルのウルトラマラソンの場合には、エリート選手でも7時間前後、一般のランナーは15時間を超える長時間活動を続けるため、どうしても途中での補給が必要になります。朝食後なら、まずはレーススタートの2〜3時間前までにメインとなる食事を済ませ、当日のコンディションを見ながら必要に応じてスタート時間の45〜60分前を目安に補食をするのもおすすめです。胃に負担が少なく1切れでご飯一膳程度の糖質を取ることができるカステラや羊羹、同じく糖質メインのバナナや蒸しパンなどがランナーの定番の補食です。

チーズなど脂質の多い食べ物は、糖質メインの食べ物に比べて重量あたりのカロリーは優れていますが、摂取後エネルギーとして取り出されるタイミングが糖質に比べ長く、より消化に時間がかかることを考えると食べるタイミングには慎重になる必要があります。

また、スタート直後の低血糖によるエネルギー不足を避けるため、血糖値スパイクによる血糖の低下に繋がりやすいGI値の高い食べ物を取るタイミングは気をつける必要があります。食物繊維が多く、消化に悪い食物も一般的に避けるべき食べ物の一つです。消化の悪いごぼうなどの根菜をレース当日の食事からは避けることも検討しましょう。

レース直前の食事について、一時期カーボローディングなどももてはやされましたが、個人的な経験則も踏まえると、レース前に普段通りの食事をすることは、不必要な体調の変化のリスクを下げ、精神的にも有効な方法の一つであると思います。一般論を鵜呑みにせず、自分の身体の声に耳を傾けて経験を積んで取捨選択していくことが大切だと思います。

ウルトラランニング中の食事とそのタイミング

eating at aidstation

続いて、ウルトラランニング中の補給についてです。ウルトラマラソンには超長距離を長時間の持続的運動を求められ、エネルギー消費も大きいため、活動中にゼリー状の補給食、いわゆるエナジージェルなどでカロリーを取ることが推奨されています。運動中は血流が筋肉に集まり内臓の消化能力が低下するため、先にあげたジェルやバナナなど消化の良い補給食がより胃腸トラブルに繋がりにくいと考えられます。ジェル以外の変わり種として最近ランナーの間で人気の意外なアイテムのひとつに、セブンイレブンの「黒糖わらび餅」があります。これはたった53gで31.9gの糖質を含み、エナジージェルにも負けない131kcal という高カロリー、つるりと飲み込める食べやすさが人気の秘密のようです。

一般的には1時間程度の感覚で100-200kcal程度を補給することが目安とされていますが、これは運動強度や身体の大きさ、脂質代謝にも左右されるため、あくまで目安と考えるべきでしょう。実際はトレーニング時のフィードバックを元に自分に最適なカロリー量と補給間隔を調整していくのが良いと思います。また、レース中雨が降ったり、気温が低いことが予想されるレースでは、体温の維持により多くのカロリー摂取が必要になる場合があります。

また、長い時間のレースで同じものを食べ続けるとどうしても飽きがくるものです。そんなときにドライフルーツやグミなど食感や味覚的にもバラエティに富んだ補給食を食べることにより精神的にリフレッシュすることがありますが、これもぜひ取り入れたい要素です。

とはいえ、これらのセオリーも個人差があり、例えば消化の良いジェルだけで走っても胃腸障害を発生するランナーもいれば、ジェルよりも消化されにくいおにぎりで何事もなく完走するランナーもいます。練習、レースを利用し都度、検証・改善して自分にあった補給メニューを作り上げていきましょう。

eating on a downhill


また、トレイルランニングのロングレースの場合、コースプロファイルにより強度が高い区間と、ゆるい下りなどそうでもない区間がありますが、強度の高い傾斜のきつい長い登りなどで、低血糖による体調不良、いわゆるハンガーノックにならないよう、その区間に入る20分程度前には補給を済ませたり、集中力の必要なテクニカルな下りでは補給できないことなどを考慮に入れて、コースに即した補給計画を立てておくべきでしょう。

その他の方法としては、トレイルランニングのトップランナーで、今年2023年のサロマ湖ウルトラマラソンの一般の部を見事優勝し、卓越したロードのウルトラランナーでもある小原将寿選手のように、水分補給時にカロリーを摂取してしまう方法なら、補給時の物理的な手間を最小限に抑え、コースに関係なくより機動的に補給できるメリットもあります。(小原選手はサントリーの飲料DAKARAにマルトデキストリンを溶かしたドリンクを愛用しているようです。)

レースの状況を想定したトレーニング中の食事

さらに、当日だけでなく練習の段階からレース中の食事に身体が慣れておくこともポイントになります。普段練習中に食事をとる練習をしていないと、レース後半の食事に身体が拒否反応を出してしまうリスクがあります。精神的にも肉体的にもレースに向けて事前に準備をしておくことが大切です。

では具体的に、レースの状況を想定したトレーニング中の食事はどのようにすべきなのでしょうか。レースに向けて、まずはコンディションを維持することが大切です。そのためにはレース1〜2週間前を目安に、食べ慣れているもので栄養バランスの良い食事を取りましょう。トレーニングしている期間から、練習量に見合うエネルギーを、バランスよくとることでトレーニングからの疲労回復やトレーニングの効果も高まります。食事内容が極端に偏ったり、十分なカロリーを摂取せずに身体に負担をかけた結果、疲労を溜め込むことになり、最悪のケースでは免疫機能が低下し、風邪を引いたり感染症にかかりレースをDNSすることになりかねません。

エイドステーションでの補給とエイドワーク

hydration failed on running

6000kcalとも7000kcalとも言われるウルトラマラソンでの消費カロリーを補うため、走行中のジェルなどの補給食以外に、エイドステーションでは果物などの固形物を食べるのが一般的なランナーの補給方法でしょう。

実際に、エイドステーションで用意される飲食物を、練習の段階から試してみるのもおすすめです。事前に自分で栄養補給するものを用意していたとしても、走っている間に落としたり、ドロップバッグに入れ忘れたり、当日どんなことが待ち受けているかは分かりません。ハプニングに遭遇しても、冷静にエイドステーションの提供物から自分の身体に合ったカロリーを補給できる知識と経験を積んでおくことが大切です。ちなみに、エイドステーションで提供されるものは事前に大会ウェブサイトにリストとして掲載されていることもあります。レース当日を想定して、事前に自分に合ったものを判断できるようにしておくといいでしょう。特にバナナはどのレースでもほぼ提供される定番の食べものの一つなので、嫌いでない限りは上手に活用するとよいでしょう(食べすぎた結果、レース後しばらくはバナナを見るのも嫌になりますが…)

runner eating tons of nanana

食べるもの以外に、エイドステーションでの活動、いわゆる補給を含めたエイドワークは得意な人と不得意な人がいます。

走行中は順位がそれほど変わらないのに、レース中順位を切り上げていく不思議な知人のランナーがいました。本人に聞いてみたところ、順位をあげるポイントは走行中よりも、むしろエイドステーションでのエイドワークと考えていたことに驚いた記憶があります。長い時間走り、頭も少し朦朧とする中、次のエイドステーションでやること、補給することをあらかじめ計画し実行することで走力以上の結果を出すその友人には感心することしきりでした。

今年2023年のウェスタンステイツ100マイルの覇者Tom Evans トム・エバンスはまさにその一人で、試走の時にまさに実際のレースでそのエイドで起こりうるであろうことを細かく想像し、練習する徹底ぶりだそうです。一方、WSERの女子の覇者Courtney Dauwalter コートニー・ドーウォルターはPodcast: FreeTrailを聞いた限りトム・エバンスよりもだいぶおおらかに考えているようです。

まとめ

runners at startline of ultra-marathon

今回はランニング中やトレーニング中の食事について気をつけたいポイントについて紹介してきました。

ウルトラマラソンへの準備において、適切な食事管理はトレーニングと同様に重要です。レース直前の食事は消化しやすく高炭水化物のものを選び、レース開始の2〜3時間前に済ませ、カステラなどの補食をとるのが理想的です。ウルトラランニング中の補給は、1時間に100〜200kcalを目安にジェルなどを取ることが推奨されますが、個人差を考慮し自分の身体にあった補給食、食事の間隔、量を知っておきましょう。トレーニング中の食事もレースを想定したものにし、練習量に見合ったバランスの良い食事を心がけましょう。エイドステーションでは、果物などの固形物を効率よく利用し、エイドワークの練習も重要です。最終的には、レース当日の食事や補給方法は、事前の準備とトレーニングに基づいて慎重に計画することが成功への鍵となります。

ぜひできるところから試してみましょう。


Leave a comment

Please note, comments must be approved before they are published

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。